シリコンバレー恒例「ご近所ロボット・パーティー」開催

シリコンバレーで、第4回「ロボット・ブロックパーティー」が4月10日に開かれた。

ブロックパーティーとは、住宅地で近所の住民が集まり、外でバーベキューなどをしながら行う気軽なパーティーのこと。このロボット・ブロックパーティーも、シリコンバレーにいる近所のロボットたちを集めて楽しくやろうという趣向だ。

集まったのは、大小さまざまなロボット。産業用、医療用、障害者支援型ロボットなどもあれば、学習用ロボット、ロボット学習セットなどの教育関係、はたまた洗濯物を畳むロボット、ブリスビー発射ロボットなど、意表をつく実験作も多々見られた。

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ロボット・ブロックパーティーの会場となったのは、VAIL。スタンフォード大学で最先端の自動車研究が行われている場所だ

この週は、全米を挙げての「ロボットウィーク」で、各地でロボット関連のイベントが目白押しだった。シリコンバレーではこのブロックパーティーの他に、スタンフォード大学法学大学院でのロボット・ビジネスの法的課題についての会議、別にレポートする『Xconomy』の会議が開かれた。前者には参加できなかったが、別の機会にパネリストらの意見を聞きたいと思う。

ブロックパーティーと同じ日には、やはりスタンフォード大学内で『クールプロダクト・エクスポ2013』が開かれ、面白いアイデア溢れる製品を作るスタートアップがテーブルを並べていた。中には、センサー技術を用いて水やりのいらないハーブの鉢植えや、タブレットを用いたテレプレゼンスロボットの開発企業もあった。当日は、ふたつのイベントの間をシャトルが走り、両方のイベントを楽しんだ参加者も多かったようだ。

さて、ロボットプロックパーティーの中から参加ロボットをいくつか紹介しよう。

正面で、小さな木片を美しく積み上げていたのは、ボット&ドリー社のアームだ。

同社は、ロボットアームにカメラを装着し、高度なモーションコントロールを行ってハリウッド映画撮影に関わってきたユニークな企業である。アニメーションや製品デザイン用に開発されたソフトウェアを用いて、ロボットアームの動きを設計するのが特徴。あらかじめ設計しておけば、撮影中はロボットアームが自動的に動くしくみだ。

ブロックパーティーでは、同じテクノロジーを使って木片を積み上げていたが、いずれ完成品の設計に従って家具を作ったり、建材を組み立てたりが可能になる日も来るだろうと思わせた。

ボット&ドリー社のプログラムで木片を積み上げるロボットアーム

ボット&ドリー社のプログラムで木片を積み上げるロボットアーム

ボッシュ社RTC(研究技術センター)は、飲み物を出したり、洗濯物を畳んだりと、一般家庭で使えるロボットを今後5〜10年の間に開発したいとしている。ブロックパーティーでは、3Dセンサーを用いてジェスチャーでロボットのアームを操作する入力インターフェイスを展示。ユーザーの手の動きに連動して、ウィロー・ガレージ社製PR2がカップを持ち上げたりする。子供たちに人気の展示のひとつだった。

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ボッシュ社の3Dセンサーインターフェイス。果たして、PR2と心をひとつにできるか?

洗濯物で言えば、スタートアップのフォールディメイト社は洗濯物を畳んでくれるロボットを開発中。ベータ版の5000台を間もなく出荷する予定のようだ。洗濯物は、シャツ、ズボンなどを感知して、それに併せて畳む。コインランドリーや洋品店、家庭での利用を考えている。

同社のサイトを見てみたら、共同創設者のひとりにテッド・セルカー氏の名前があるのには驚いた。同氏はIBMのアルマデン研究所に長年在籍し、シンクパッド・コンピュータに使われている赤いトラックポイントを発明したことで知られる。同研究所では、研究者としての名誉職フェローにもなっていた。その後、MITメディアラボ教授として移籍したのだが、そこを退いて後、こんな発明をしているわけだ。フォールディメイトのテーブルの前では、ユーザービリティー専門家として知られるドン・ノーマンにも会った。彼は同社のアドバイザーを務めているとのこと。

ものすごい試作機ながら、けっこう注目を集めていたフォルディメイト社の洗濯物畳みロボット

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エクソバイオニックスのウェアラブル・ロボットは、すでに病院で使われている 

エクソ・バイオニックス社は、身体障害者のための着脱式ロボットを持参。英語でexoskeletonと呼ばれる技術だ。ウェアラブル・ロボットと呼ばれることもある。同社は、もともとアメリカ軍兵士がアフガニスタンの高地を重い荷物を持って登ることを想定してこの技術を開発したが、これは、下肢が不自由でこれまで車椅子での生活を余儀なくされてきた人々にも恩恵のあるもの。すでに数10台を全米の病院に納品しており、来年からは個人を対象に販売も開始する予定らしい。

小さくてもパワフルなテクノロジーは、パズルボックス社のオービットだ。脳波を感知する無線ヘッドセットであるイーモティブ社のEEGヘッドセットは、これまでもコンピュータゲームなどの操作に使われてきたが、オービットは初めてハードウェアを動作させるためにこれが用いられた例。集中力を高めると、球体のヘリコプターが飛行を始める。これも子供たちに人気だった。

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パズルボックス社の小型ヘリを飛ばすには、集中力が必要

カリフォルニア大学デービス校エインテグレーション・エンジニアリングラボから生まれたバローボ社は、教育用のモデュラーロボット「モボット」を開発する会社。2010年に創設された。関節のように回転し、プレートを車輪にして移動するモデュールを組み合わせ、プログラム可能なロボットを作る。モデュールを組み立てるキットは139.99ドルで販売している。

オリガミ・ロボッティックス社は、「ロミボ」という子供のセラピー用ロボットを開発する。ロミボはiPadから操作が可能で、自閉症の子供とやりとりし、また子供が操作すれば感情を表現する際の仲介としても利用される。リズムに乗った動きやジェスチャー、まばたき、アイコンタクト(相手に視線を合わせること)などが制御でき、センサーで近くに相手がいることも感知する。SDカードで音やことばを追加することもできる。

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バローボ社の教育用モデュラーロボットが、障害物を避けて走行中

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着せ替えもできるロミボ

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キーポンには、いつも子供たちが群がっていた

ここには書ききれなかったが、参加したのはおよそ40の会社や組織。種々雑多なロボット開発が見渡せるイベントだった。