ロボットのベンチャー・キャピタリスト、ディミトリ・グリシン氏

ボストンやシリコンバレーでも、ベンチャー・キャピタリストがロボット分野に注目し始めているが、ロボットだけに特化して投資を行うベンチャー・キャピタリストがいる。ロシア人のディミトリ・グリシン氏だ。

グリシン氏は、ロシアのインターネット会社Mail.Ruの共同創設者で、現在CEO。ベンチャー・キャピタル会社のグリシン・ロボティクス社は、個人資産2500万ドルを元にして、起業されたばかりの会社にシード投資をする。パーソナル・ロボットが中心だ。

ディミトリ・グリシン氏(photo: Mail.Ru)

ディミトリ・グリシン氏(photo: Mail.Ru)

そのグリシン氏が、『ウォールストリート・ジャーナル』でインタビューに答えている

同氏は、ロボットがいる未来小説が本当のことになるのは予想以上に早く、今こそ、アイデアをビジネスにすべきだと言う。ハードウェア部品のコストも低くなり、3Dプリンターで安くプロトタイプを作ることもできるからだ。初期の投資額も50万ドル以下で済み、これはクリーン・テクノロジー業界などの新興企業への投資よりは、ずっと少ない額だという。

同氏が現在投資しているのは、以下の5社:

ナノサティスファイ社: 極小衛星を製造

ロボッツアップス社: ロボットのためのアップ・ストアー

ダブル・ロボティクス社: iPadを利用したテレプレゼンス・ロボットを開発

スヴィヴル社: 被写体に合わせて動くビデオ・キャプチャ技術

ボルトio: ボストンのハードウェア・インキュベーター

同氏は、ロボット革命の中心地となるのはシリコンバレーだと予測している。その理由は、デザインの伝統があること、メーカー・ムーブメントに見られるようにモノ作りをする人々が多くいること、他国から移住するイノベーターのあこがれの地であることなどだ。

同氏のところには、投資依頼がたくさん来るが、アメリカを別にすると、ヨーロッパ(特にロンドン)や中国が多いという。日本はもっとリードすると思っていたが、本物のビジネスにするよりは、ヒューマノイドを作ることの方に関心があるよう、と見ているようだ。

「これだ!」というビジネス・アイデアのある日本のロボット開発者は、どんどんグリシン氏にコンタクトを取っていただきたいものだ。


パルクール(?)する6本足のロボット

こんな面白い動きをするロボットは見たことがない。ピョンピョン跳ねたり、隙間を飛び越えたり、壁に飛び乗ったり、裏返しになったり……。

『IEEEスペクトラム』によると、このロボットは、ペンシルバニア大学のKod*lab(コッドラボ)で開発されている「Rhex(レックス)」。

ロボットでは、車輪よりも足の方がデコボコの地面を移動するのに有利だが、足はそれぞれの可動要素のインストラクションが複雑になる。そこでこんな足になった。

一番難しかったのは、隙間を飛び越えるという動き(ビデオでは2:09時点)だったという。後ろに下がって勢いをつけるよりも、なるべくせり出して飛んだ方が、真ん中の足のトルクが2回目のバウンスで効き目を発揮して、うまく飛べたのだという。ビデオでこのジャンプを見ると、まるで本能的に動いている動物のようだ。

レックスは、これから砂漠などでも実験を行う予定。人間が踏み込めない危険地域へ侵入するロボットとして想定されているという。

ところで、こうした動きはパルクールと呼ばれるのだそう。パルクールとは、軍隊の訓練などで、障害物を乗り越えつつ、効率的に前進していくための無駄のない運動のこと。レックスもその動きにヒントを得たという。

そのパルクールを調べていたら、下のようなビデオが見つかった。こんなスパイダーマンのようなことができる生身の人々がいるとは……。こちらもロボット並み。


人を感じさせるロボットは、「暗黙知」を誘い出す。 RP-VITAを訪ねて<その2> UCLAメディカルセンター脳外科ICU取材

何事も現場を見ずには本当のことはわからないものだが、今回のUCLA(カリフォルニア大学ロサンゼルス校)メディカルセンターほど、「見に来てよかった」と訪問中に何度も痛感したのも珍しい。

ここへ見に来たのは、医療用テレプレゼンス・ロボットのRP-VITAである。インタッチ・ヘルス社アイロボット社と共同開発したもので、医師が遠隔地にいても患者の様子を診断でき、可動型なので病院内を動き回り、自律走行もできるというロボットだ。

ロボニュースは、これに先立ってインタッチ・ヘルス社CEOのユーラン・ワング氏にもインタビューをして(RP-VITAを訪ねて<その1>)、このロボットの狙いを学んだつもりだったが、それでも現場に来なければわからないことがたくさんあったのだ。

UCLAメディカルセンター内部を移動するRP-VITA

UCLAメディカルセンター内部を移動するRP-VITA

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「テレロボティクス」という分野。国際宇宙ステーション(ISS)の宇宙飛行士が、地上のローバー操作に成功

『ロボハブ』によると、先月ISSの宇宙飛行士が地上のK10ローバーを遠隔から操作するのに成功したという。

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ISSからの操作によって、NASAエイムズ・リサーチセンター敷地内で動くローバー(Robohubより)

この実験は、NASAの「地表テレロボティクス」というプログラムの一環で、今年夏の間を使って行われるもの。通信の遅れを最小限に留めながら、ISSで宇宙を飛行する飛行士が、月面や火星面に置かれたローバーを遠隔で操作する際の課題や用途、技術上の問題を特定することが目的だ。

また、技術上の問題点の洗い出しだけではなく、人間とロボットが協力して宇宙探索に乗り出す際に、ISSのワークベンチから操作する飛行士の作業負荷やどの程度の状況判断が行えるかといったことも観察される予定だという。

危険作業を人間に代わってロボットが行えるようになれば、リスクは大きく減らせるのは、地球も宇宙も同じ。ロボット技術は、両方の世界で同時に進展している。


プレゼントの箱からバクスターを取り出す

単純な繰り返し作業を行う産業ロボットとして注目されているバクスターは、研究用にも提供されている。研究用バクスターは通常2万2000ドルで販売されているが、先頃OSRF(オープンソース・ロボティクス財団)が、メーカーのリシンク・ロボティクス社からバクスターを1台贈られたようだ。OSEFのスタッフが、そのプレゼントの木箱を開ける様子がビデオに収められている。

研究用バクスターは、コアになっているソフトウェア・システムは触れられないが、その上の開発用SDKレイヤーはROS(ロボットOS)に基づいていてオープンになっている。ここで外部の研究者や開発者たちに、おもしろいアプリケーションを生み出してもらおうというわけだ。

すでにアメリカの数大学の研究室でバクスターが用いられているらしく、『IEEEスペクトラム』誌によると、周辺のモノを3Dで捉えてデータを蓄積させたり、ヒューマン・インタラククションの研究に使われたりしているようだ。リシンク・ロボティクス社の説明には、「深夜の研究のお伴にぴったり。しかも夜食のピザを食べなくても働きます」と書かれている。

新たな研究からどんなアプリケーションが出てくるのかも興味深いが、ロボット・メーカーが自社のハードウェア上で動くソフトの部分で、外部研究が入り込む余地を設けておくというモデルも面白い。アンドロイドOSのスマートフォンのように、アプリを開発するディベロッパーたちが続々と出てくる時が来るかもしれない。


DARPAロボティクス・チャレンジ(DRC)。トライアル戦の現場はこんな具合

DARPA(国防総省高等研究開発局)が今年末に開催するロボティクス・チャレンジ(DRC)のトライアル戦の詳しい概要が発表された

このトライアル線は、来年末のファイナル戦に備えて行われるもので、フロリダ州のマイアミの屋外自動車レース場「ホームステッド・マイアミ・スピードウェイ」で、12月20〜21日に開かれる予定だ。

DRCトライアル戦の会場イメージ(DARPAサイトより)

DRCトライアル戦の会場イメージ(DARPAサイトより)

チャレンジでは、ロボットが車に乗り込んで運転する、デコボコの地面上を歩く、ドアを開く、バルブを回すといった8つのタスクを行い、それぞれの自律性、認知力、判断力、巧みさといった観点から評価が行われる。これらのタスクは、福島第一原発事故のような緊急時に、人間に代わって現場で作業するロボットの開発を推進するという、DRCの目的に沿ったものだ。

この概要書には、現場で建設される走行トラックや、デコボコの地面、入り口を塞ぐ障害物、産業用はしごの形状などが図解されており、各チームがロボットに練習させるのに役立てることができる。現場では、同じタスクを同時にテストできるように、一部複数のテストユニットも作られるようだ。

一般公開もされるというこのトライアル戦。ロボットたちがどう挑戦するのか、楽しみである。


DARPAロボティクス・チャレンジ(DRC)に参加する『アトラス』は、こんなロボット

先だって紹介したバーチャル・ロボティクス・チャレンジ(VRC)を勝ち抜き、今年末のトライアル戦に参加する7チームが利用するロボット、アトラスを、DARPA(国防総省高等研究開発局)が公開した

アトラスを製造したのはボストン・ロボティクス社で、DRC用に改訂が加えられている。VRCではシミュレーターを利用してコントロール・ソフトウェアのできばえが競われたが、今度はそれを本物のロボットを動かすのに利用することになる。

DRCに使われるアトラスの最終型(DARPAサイトより)

DRCに使われるアトラスの最終型(DARPAサイトより)

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