ホワイトハウスの『オレたちはギークだぜ』シリーズで、ロボット論議

ホワイトハウスでは、『We the Geeks』というビデオ・シリーズを放映している。「オレたちは、ギーク(テクノロジーオタク)だぜ」とでもいう意味で、ホワイトハウス内のテクノロジーおよび科学政策に関するオフィスが主催し、複数の人々が参加できるテレビ会議システム、グーグルプラス・ハングアウトを使って、いろいろなテーマで専門家が話し合うというしくみだ。

これまで取り上げられたテーマはなかなかに興味深いものばかりで、「小惑星」「21世紀的な履歴書とは」「社会貢献におけるイノベーション」「スーパーヒーローのための新素材」などがある。

8月初頭に開かれたのは「ロボット」論議。同オフィスのヴィージェイ・クマー氏(ロボティクスおよびサイバーフィジカル・システムズ部門アシスタント・ディレクター)とトム・カリル氏(テクノロジーおよびイノベーションの次席ディレクター)がモデレーターとなって、以下の人々が参加した。

・ロドニー・ブルックス(リシンク・ロボティクス会長)

・ダニエラ・ラス(MITコンピュータ科学およびAIラボ(CSAIL)のディレクター)

・マシュー・メイソン(カーネギーメロン大学(CMU)ロボティクス・インスティテュートのディレクター)

・ロビン・マーフィー(テキサスA&M大学ロボット支援による捜索および救援センターのディレクター)

・アリソン・オカムラ(スタンフォード大学コラボラティブ・ハプティクスおよびロボティクス医療ラボの主席研究員)

ジョン・グリーン(小説家、ビデオ・ブロガー)

50分足らずの話し合い中、STEM(科学、テクノロジー、エンジニアリング、数学教育)に関する話題も多かったが、その他にもおもしろかった発言を以下にいくつか挙げておこう:

・CMUと一緒に、中学2年生が歴史の勉強に役立つようなロボットを作った。ロボット専門家以外の人が作るロボットも大切であり、またロボットはまったく別の教科の理解を助けるために利用することもできる。(マシュー・メイソン)

・MITでは、IKEAの家具を自動的に組み立てるロボットも開発中だが、こうしたロボットがすぐに人間の仕事を奪い去ってしまうとは思わない。最良の方法はロボットと人間が協力し合うこと。その方が、製造現場などでより広い応用ができ、人間の仕事もさらに面白くなる。(ダニエラ・ラス)

・バクスターのようなロボットによって、製造現場の作業員はスーパーバイザー(監督)になり、嫌われてきた単純作業はロボットが担う。(ロドニー・ブルックス)

・近年世界で起こった災害35件のうち、15件にロボットを派遣してきた。災害現場でロボットを利用した際に起こった失敗の50%は、人間とロボットのインタラクション問題にある。災害時の救援ロボットは、建物に閉じ込められた人々が救援されるまでの間、医者とやりとりしたり、家族とビデオ会議をやったりできるようなシステムも兼ねることが必要だ。またそうしたロボットは、高齢者介護にも流用できる。(ロビン・マーフィー)

・デジタル・デバイド(テクノロジーの持てる者と持たざる者間の格差)を解決するためには、「One robot per child」(子供一人にロボット1台)のような取り組みが必要だ。MITでは、部品コストが10ドルのミニ・セグウェイのようなロボットも試作した。また、3Dプリンターを利用してシートを印刷し、それを折り曲げて製作するロボットも作った。こうしたことが進むと、町中のロボット・キンコーズでロボット部品を印刷できるようになるだろう。(ダニエラ・ロス)

・近未来においては、病気を持つ人がロボット手術を受けて、1時間ほどで退院し、非侵襲性の手当によって回復も速いという時代がやってくる。(アリソン・オカムラ)

・これから、PC時代からPB(パーソナル・ロボット)時代への移行が進む。洗濯物を畳んだり、食事の後に食器洗い機に皿を入れてくれたりするロボットも出てくる。(ダニエラ・ロス)

・スマートフォンが人間を元気づけたように、今後20年の間にロボットは、高齢者が一人ででも尊厳を持って生活ができるように支えてくれるはずだ。(ロドニー・ブルックス)

オバマ政権は、ロボットが今後10年間で1000億ドル規模の経済発展に寄与すると予想している。さらに宇宙、製造、交通など、さまざまな産業での応用が見込まれ、また子供たちの科学への関心への起爆剤にもなると期待している。こんなビデオ論議が行われる背景には、アメリカ政府のロボットへの熱い関心が感じられるのである。