ロボットの何が、愛着を抱かせるのか

人がロボットに対して抱く感情について、ニューヨークタイムズ・マガジン(日曜版の付録雑誌)に興味深い記事が掲載されている。「ロボットはどのようにして人に感情を抱かせるようになるのか」というテーマだ。

これからのロボットは単なる道具ではなく、それでいて完全な同僚でもないという、「グレーなゾーン」に属すものが多くなる。そのグレーなゾーンのロボットが行うタスクは社会的なやりとりも含むので、人間とロボットの関係が重要になり、昨今は「ヒューマン・ロボット・インタラクション(HRI)」という研究が行われていると、記事は説明する。

HRIでの重要な発見は、ロボットの「かたち」よりもロボットの「動き方」の方が人間の感情を左右するというもの。そして、結果的に実際のロボットの機能を大きく超えて、人がロボットの中に感情や動機を読み取るようになることもあるという。

記事の中では、いくつかの実験に触れられている。たとえば、カナダのカルガリー大学コンピュータ科学学部が2011年に行った実験は、棒の上に四角い木版が取り付けられたリモートコントロール・ロボットと被験者が部屋の中で繰り広げるいろいろな関係を記録している。

ロボットはあらかじめ定められた動きを行うのだが、被験者はロボットと闘おうとする人、ロボットが自分を狙っているとパニックに陥る人、一緒にダンスを踊ろうとした人などさまざまだったという。いずれにしても、そこではモノとエージェント(主体)との違いがあいまいになっており、ロボットに対する感情移入はすぐに起こるという。

また、ブリティッシュコロンビア大学機械工学部で行われたのは、人からモノを受け取るロボットアームの実験。ロボットが人が差し出すや否やモノに触れると、人はロボットが「失礼」だと感じるという。反対に、震えて受け取りが遅くなると「思慮深く」「シャイ」だと感じるらしい。

だが、躊躇するような動きをロボットに盛り込めばいいかというと、ことはそんなに簡単ではない。自閉症の子供向けのロボットを観察したネバダ大学レノ校コンピュータ科学および機械工学部では、感情移入を引き起こそうとプログラムされたロボットに子供たちがいったん慣れると、今度はロボットに嫌気がさし、「学習障害がある」とすら感じるようになるとしている。

記事は、日本の大和ハウスのセラピー用アザラシ型ロボット「パロ」にも触れ、実際にはうまくプログラムされてフワフワの布で包まれたネットワーク機器に過ぎないのに、愛情を欲しているように見えると評している。まるで、人の感情を操作しているようではあるが、「結果が好ましいものであるのならば、そこには倫理的問題はない」という専門家の意見にも言及している。

いずれにしても、感情が喚起されるのは人間側の問題。これが行き過ぎると、問題が起こることもあると記事は指摘する。今後、ロボットにプログラムされる社会的スキルは知性ではなくて、錯覚で回帰的であり、人間の軽信性を利用したもの。テクノロジーは賢いと信じ込ませるようなテクノロジーが出てくれば、人は理性的判断よりも衝動に従うようになることもあると注意している。