スタンフォード大学+UCバークレーのロボット・シンポジウム全記録が見られる。アンキドライブの生産現場も公開

さる10月11日に、カリフォルニア大学バークレー校で、同大学とスタンフォード大学のロボット研究者を中心にしたシンポジウムが開かれた。残念ながら、ロボニュースは取材に行けなかったが、その全記録ビデオがサイトに載っている

ロボット開発に重要な技術研究の発表と並んで、すでにロボット製品を出している新興企業のプレゼンテーションもある。時間があれば、ぜひ見ていただきたい。セッションは4部に分かれているが、このプログラムのページから各スピーカーのプレゼンテーションに直接アクセスできるようになっている。

ロボニュースでは、最近話題になっている新興企業アンキ社(Anki)とレッドウッド・ロボティクス社のプレゼンテーションを見てみた。アンキ社は新しいタイプのゲームカーのメーカー、またレッドウッド・ロボティクス社はSRIウィロー・ガレージメカ・ロボティクス社の合資で生まれ、ロボットアームを開発中とされているが詳細がまだ隠されている企業である。

アンキ社のアンキドライブ。ビデオゲームが飛び出してきたような興奮が味わえる

アンキ社のアンキドライブ。ビデオゲームが飛び出してきたような興奮が味わえる

アンキ社の共同創設者、マーク・パラトゥッチは、現在製品がどう大量生産されているのかを写真も交えながら説明した。同社は、ロボットが軍事用にばかり開発されていて、消費者向けの一般製品が出ていないことを残念に感じたことから生まれた会社だ。マイクロプロセサーやセンサーなどが安くなっていることから、可能性を感じたという。

同社の「アンキドライブ」は、ビデオゲームのカーレースがリアルなモデル車で楽しめるという不思議なタイプの製品だ。現実の自動車の50分の1サイズで作られたモデル車はスマートフォンと交信し、イメージ・プロセシング、パス・ファインディングの機能を利用して自走する。リアルなモノはユーザーの感情を喚起するから、そこにロボットとAIの考え方を盛り込みたかったそうだ。

2010年にカーネギーメロン大学の出身者3人で始めたアンキ社には現在15人の社員がおり、毎日数1000台を製造している。けれどもここまで来るのは簡単ではなく、ここ数年で大量生産の方法論についてかなり学習したという。

生産ラインの説明では、中国(と思われる)の工場での製造を順を追って説明した。基盤のプリントからそのアッセンブリー、ハンダ付けによるカバー作業、ツール(CNC マシーンを利用、放電加工)、スティール製モールドの手による研磨作業、プラスティックの注入モールディング、塗装(45段階ある)、アッセンブリーまで、小さな製品に見えても何100人もの手がかかっているという。注意をしていても必ずエラーがあるので、テストは常に行う。

この経験で学んだことは以下だという。大量生産は大変難しい過程であり、多数の人間の手がかかること。また、モールドの精度が悪くてやり直しするといったようなことも含め、思ったよりもずっとコストがかかる。もっとも安全に見積もっても、実際にはその2〜3倍はかかるという。

また、この生産コストをどう調達するかについては、とりあえずはキックスターターやインディゴーゴーのようなクラウド・ファンディングが役に立つが、生産コストをすべてまかなうことはできないという。しかし、クラウド・ファンディングで10万台を売り上げたと言えば、ベンチャーキャピタルを説得して投資を受ける可能性も出てくるという。

そして、生産段階の知識には、この分野で何10年もの経験を積んだ経験者が必要だった。「賢い人間よりも、経験のある人間」を雇うことが重要だ。

もうひとつのレッドウッド・ロボティクス社は、研究組織(SRI)と企業がコラボレーションすることの有用性を中心に話した。ことに2007年に創設されたメカ・ロボティクス社は小規模な企業で、それが研究機関のための要請に応えたり、製品をカスタマイズするのにうまく対応できたという。