スタンフォード大学の教授たちによる、バクスターのケース・スタディー

バクスターを開発するリシンク・ロボティクス社のビジネスモデルとテクノロジーなどをまとめたケース・スタディーが、今年6月に出ていた。スタンフォード大学の機械エンジニアリング学部の二人の教授がまとめたもの。

Robot - case_study

但し書きとして、「この論文は、ビジネス面での効果的な戦略を考察するものではなく、学生との論議のベースとなることを目的としている」と記されているが、内容はいろいろ参考になるので、ぜひ目を通されることをお勧めしたい。

概要をお伝えすると、ケース・スタディーでは、会社の沿革、資金調達、経営陣、製品のテクノロジーの他にも、会社としての戦略、今後の可能性、競合などに触れている。

興味深いのは、リシンク・ロボティクス社創設者のロドニー・ブルックスが最初からアメリカの製造業を再生することを念頭に置いていたこと。

同氏がまだアイロボット社に在籍していたころ、原油の値上がりと共に中国からの輸送費がどんどん高くなったことや、母国のオーストラリアでルーンバの中国製コピー製品の広告を見かけたことがリシンク・ロボティクス社創業のきかっけとなった。­­製造業の経済を変える必要があると感じたという。

同氏はよくアメリカ製造業の復活を口にするが、これは後付けではないということだ。また、アメリカの労働力を代替するのではなく、補強することも目標としていた。

バクスターのテクノロジーのアプローチにもついて触れている。ひとつは、断続的なソフトウェアのアップデートによって、バクスターは時間を経るほどに速く賢くなるという点。他の産業ロボットが、納品された後から価値を失っていくのとは対照的だ。

また、SDKを提供するオープン・システムのソフトウェアを標榜することで、ロボット・アプリケーションの開発者コミュニティーを促進し、「ハック」されることによって改良されていくことを目論んでいる。リシンク・ロボティクス社によると、ロボットにおける現在のキラー・アップは、アプリ自体ではなくて、アップ・ストアーだとしている。機能が揃うにつれ、バクスターは「ホットケーキのように売れるはず」とブルックスは述べている。

そして利用者からのフィードバックを迅速に取り込むために、『リーン・スタートアップ』の方法論を利用している。最小限に有効な製品(MVP)をまず発表し、そこからはフィードバックを元に調整していくことで、市場に最大限合った製品づくりを目指すということである。バクスターが2012年10月に発売された時に搭載されていたのはベータ版のソフトウェアで、最終版は2013年1月にリリースされた。ハードウェアは社内と社外両方の開発者によって手がけられているらしい。

さらに、当初バクスターの利用者は中小規模の製造業と予想していたが、大企業からの関心も高いという。このケース・スタディーでは、食品加工、健康産業、サービス業などでの利用の可能性も予想されるとしている。