家事ロボットがやって来るための条件を計算する

メリーランド大学機械エンジニアリング学部教授のサタンドラ・K・グプタ氏が、家事ロボットが実用化されるための条件を考察、『IEEEスペクトラム』に寄稿している

同氏によると、家事ロボットは以下の3つに分類される。

(1)退屈で単純な家事作業を行うロボット

(2)家庭において新しい役割を担うロボット(教育、エンターテインメント、コンパニオンシップ/付き添い)

(3)介護施設やコミュニティーで使われるロボット

ロボットがやる作業は掃除、洗濯、皿洗い、トイレ掃除、家具組み立て、電話の応答など多岐にわたると想定。ただし芝刈りなど屋外での作業や、ペットや子供の世話などは考慮していないという。

カールスルーエ工科大学の家事ロボット、アルマー(http://spectrum.ieee.org/より)

カールスルーエ工科大学の家事ロボット、アルマー(http://spectrum.ieee.org/より)

同氏は、こうしたロボットはレンタルされるのがふさわしいと見ており、レンタル会社が設置、モニタリング、メンテナンスを行う。ロボットがフリーズしてしまったら、カスタマーサービスが遠隔操作でリセットしてくれるというのもありだろう。

家事ロボットのレンタル費として人々が支払ってもいいと感じるのは、月額200〜500ドルの間だろうと、同氏は推定する。たいてい家事の手伝いでは、1時間あたり5〜10ドルを支払うことが多いので、ロボットが毎月40時間の家事を担ってくれれば、月額200〜400ドルのレンタル費は妥当だ。

ところが、月40時間の有用な家事作業をロボットに行わせるためには、まだまだ新技術が足りない。何100万人もの大きな市場があれば、新しい技術も200ドルほどまで値段が下がるもの。だが、そんな大市場がなければロボットは適性価格になることはなく、また適性技術がなければそもそも市場もできない。

家事ロボットの難しさはまさにここで、現在のような遅々とした技術発展ではなかなか思い通りの展開は望めないという。しかも、各大学の研究室などで見られるように家事ロボットは技術的には実現可能だが、家庭用として実用化するには何10億ドル規模の投資が必要となる。ベンチャーキャピタリストはこの手の市場には関心を持たないため、期待できるのはグーグルやマイクロソフト、アップルなど、キャッシュに恵まれた大手テクノロジー企業がロボット産業を作り出すことだという。

その際に参考になるのは携帯電話の発展。携帯電話は、通話機能から始まって、ミュージック・プレーヤー、ウェウブラウザー、カメラ、ゲーム機などの機能を付け加えていった。

それと同様に、特定の家事のために導入されたロボットが、その後他の機能を付け加えたり、パーソナル・トレーナーやエンターテイナー、インストラクターといった新しい役割を付加したりしていくことも考えられるのではないかと、グプタ氏は考えている。

そうなれば、おそらく2020年までにロボットは我が家にやってくる。しかし、上記の大企業が足を踏み出してくれないのならば、実現はほど遠い。