「ロボットのソフトウェアとハードウェアは、今や60対40くらいの比重になっています」フランク・トービー氏インタビュー その<2>

フランク・トービー氏は、ロボット産業の動向を追うふたつのウェブサイト「ザ・ロボット・レポート」と「エブリシング・ロボティクス」でよく知られている。また、長年研究してきたロボット企業の業績調査を集大成した世界初のロボット産業の株価指数「ロボストックス(ROBO-STOX)」の創設者のひとりでもある。ロボストックは昨年、ナスダックに登録された。

その<1>に続いて、ロボストックスや、ロボット起業の様子をどう観察しているのかなどについて尋ねた。

ロボット株指数(ROBO-STOX)を構成する企業の業務分野(http://www.robostox.com/より)

ロボット株指数(ROBO-STOX)を構成する企業の業務分野(http://www.robostox.com/より)

Q. インターネットができた時もそうでしたが、今はロボット研究室のある大学の周辺でロボット産業が集積し始めていますね。

A. アメリカではシリコンバレー(スタンフォード大学、カリフォルニア大学バークレー校)、ボストン(MIT)、ピッツバーグ(カーネギーメロン大学)、アトランタ(ジョージア・テック)。あとはスイスのチューリッヒ工科大学、ローザンヌ工科大学の周辺の2カ所、日本では東京大学、東京工業大学、そして韓国ではKAISTが中心となった地域があります。ロボット関連のスタートアップもそれらの地域に集まっています。

Q. 国によってスタートアップに違いはありますか。

A. アメリカでは、やはり失敗しても、それは学習のためのいい経験だったと思われる傾向が強い。それに対して、スイスではそもそも失敗がない。というのも、大学の中でインキュベーションされ、スタートする前にビジネスとして成立するかを試すからです。その意味では、日本も似ています。例外はあるにしても、大学が育てている。韓国はまだまだ製造産業国家っぽく、ロボットを勉強したい学生はアメリカや日本へ留学し、そこに残るか、帰ってきても大企業に飲まれてしまうようです。

ロボット業界の動きを追うフランク・トービ氏。

ロボット業界の動きを追うフランク・トービ氏。

Q. アメリカの中では違いがありますか。

A.  シリコンバレーにはかなりの才能が集中していて、ここに来る以外のチョイスはないといったようにも見えます。たとえば、無人航空機を開発するあるスタートアップは、テキサスで起業し、ロサンゼルス郊外へ引っ越して、その後シリコンバレーにやってきた。優れたソフトウェア・エンジニアが他の地域では見つからなかったからです。ハードウェアは自分たちが作ったものがあっても、それ以外はソフトウェアの勝負になる。ソフトウェアとハードウェアは今や50対50、あるいは60対40くらいの比重になっていて、ソフトウェアで機能性をどんどん向上させていくことは非常に重要です。

Q.  さて、ロボット株指数(ROBO-STOX)についてお伺いします。ロボストックスは、世界の主要なロボット関連公開企業77社の株価をまとめた指数ですが、これはどのような基準で選ばれていますか。

A. ロボットやオートメーション機械が売上の一定の割合を占める企業のうち、ふたつの基準から選んでいます。そのひとつは、企業価値が2億ドル以上であること。それ以下であると、買収の対象にはなるかもしれませんが、投資対象としては事業の安定が確保できません。また、株が変動し流動性があることも基準としています。

Q. 大企業と共に、中規模の企業も含まれていますね。

A. 大企業の好例はABB社です。同社がロボット関連事業から上げる収入は3分の1以下で、他は発電機などの事業によるものです。こうした企業は「ベルウェザー」、つまり将来の大きな動向を占う存在です。そうでないクカ・ロボティクス社やアイロボット社などはピュア・プレイ、つまり100%純粋なロボット企業です。そうしたピュア・プレイの企業はそれほど多くありません。

Q. 指数を作り上げる際に、新しい発見はありましたか。

A. 興味深いのは、ロボティクスはアメリカのビジネスではないという点です。産業ロボットはドイツ、日本、韓国などの企業が中心となっています。一方、サービス・ロボット(産業ロボット以外のすべてのロボット)ではアメリカが中心で、さらにイスラエルやフランスの企業からアグレッシブな競争を挑まれています。

Q. 指数はどのように動いていますか。

A. スタートしてから最初の29日間で、ロボストックに連動したETF(投資信託)は、ゼロから2800万ドルにアセットが成長しました(リアルタイムでの動きはここ)。また、1ヶ月半の間に1日で2%以上インデックスが上昇した日が2回ありました。これが年率ならばいいんですがね(笑)。今後は四半期ごとにロボット関連会社を検討して、インデックスに新しい企業を加えていく予定です。

Q. ロボストックスの株の動きは、他の株とは異なりますか。

A. インターネット企業などとは違っていますね。おもしろいのは、ダウジョーンズ工業平均株価の指数と連動していることです。ロボストックスは74%が海外のロボット会社の株で構成されているにも関わらず、アメリカの代表的な30種の工業株価と並行して動いているのです。

Q. ロボット指数を発表するのには今がいい、と判断された理由は何ですか。

A. 理由はふたつあります。ひとつは、産業ロボットのビジネスがこれまでにないほど好調だということです。とは言え、かつて農業でトラクターが農民の仕事を減らしたようなことは、まだ起こらないでしょう。アメリカでは過去75年の間に、農業従事者が総労働者の50%から2%に減ってしまいました。生産現場でのロボットが注目されていると言っても、人間に取って代わるようなことはなさそうです。もうひとつは、医療現場や小さな工場などでサービス・ロボットやアシスタント・ロボットの需要が高まってきていることです。インターネット・オブ・シングズ、スマート・シングズなどの物理的なデバイスがロボットとなる日も、いずれやってくるのです。