DARPAのギル・プラット氏が見る、グーグル・ロボット

『ロボハブ』がDARPAのプログラム・マネージャーで、ロボティクス・チャレンジ(DRC)を統括しているギル・プラット氏にインタビューを行っている

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DARPAプロラム・マネージャーのギル・プラット氏

DARPAプロラム・マネージャーのギル・プラット氏

Q. DRCの成果をどう見たか。

A. 各チームはみな、予想を少し上回る成果を上げた。周到な準備のせいだろう。しかし、われわれは災害時にロボットで何ができるのかを試す、シナリオの最初に立ったところだ。

Q. DRCにとって、クラウド・コンピューティングは重要な要素だった。クラウド・コンピューティングはロボットの発展をどう促進するか。

A. 2つのカテゴリーがある。ひとつは、バーチャル・ロボティクス・チャレンジで用いたようなシミュレーション環境だ。リアルタイムでシミュレーションを行うことができ、人間とロボットのコラボレーションを試すことができたのは、大きな一歩だ。もうひとつは、将来においてロボットのコンピューティングとデータをクラウドでホストするというやり方だ。ことに認知の機能をクラウドに移せば、物理的なロボットから重荷を取り除くことができる。また、ロボットが学習したことを即座に共有できれば、ことに構造化された環境でのロボットの機能向上に大きく作用するだろう。

Q. グーグルのロボット企業買収をどう見ているか。ことにDARPAが何年もかけてきた自走車、ヒューマノイド・ロボット技術を独り占めしている。

A. 商用的な関心があるのは素晴らしい。われわれが未来の技術に正しく投資したという、ひとつの証だ。商用的な関心が高まることによって、コストが下がる。携帯電話がいい例だ。携帯電話には、DARPAが基礎研究に行った多くの投資が含まれている。しかし、もし国防省が独り占めしていたら、値段はかなり高いままだっただろう。しかし、DARPAの関心は商用化だけでなく、国防面での問題を解決することだ。携帯電話技術では、同時にそれに向けたプログラムも遂行している。

Q. 大型買収はDARPAにとっては望ましいことか。

A. いいことだ。広くわが国にとっていいことだ。

Q. ロボット分野全体にとっていいことか。

A. もちろんだ。ただ、心配するのも理解できる。なぜならば、ある一定期間、非常に才能のある人々がDARPAのためではなく、営利目的企業のために仕事をすることになるからだ。しかし、それは一時的なもので、大きく見れば、企業の投資がロボットを現実的なものにするという点の方が重要だ。これによって、研究やプロトタイプに留まらず、製品が生まれる。そこから新しい会社やキャリアも生まれる。最終的な影響はポジティブなものだ。

Q. 企業からの関心は、オープンソース・コミュニティーにどんな影響を与えると見るか。

A. オープンソースは非常に重要だ。無駄な競争を取り除き、カタリストとなって、その分野全体が前に進むことを可能にする。集積回路分野では、オープンソースのシミュレーターSPICEが開発されたが、同様のことがロボットでも言える。シミュレーションは、競争以前の段階であると理解するのが重要だ。いくつも異なるシミュレーターを開発する必要はない。私はOSも競争以前のものであると考える。また新しい会社が閉じられたOSを作る必要なない。それよりも、真のイノベーションが起こる次の段階に進むべきだ。

Q.  グーグルがボストン・ダイナミクス社という軍事会社を買収したという声があるが、それは正しい見方か。

A. 間違っている。ロボットは、実際に武器や特別なセンサーを搭載していない限り、汎用的なものだ。ロボットそれ自体は軍用でも商用でもない。見たところは人のように見えるかもしれないが、頭は空っぽだ。また自律的に行動するには、まだまだほど遠い。そこの部分が誇張され過ぎている。

Q. グーグルのデータにおける専門知識と、ボストン・ダイナミクス社のハードウェアが一緒になれば、どんなことが起こるか。

A. グーグルが何をしようとしているのかは、知らない。話すか話さないかを決める権利は向こうにあり、何も聞いていない。一般的に言えば、データとロボットとの組み合わせからは、面白いことがいろいろ起こる。たとえば、大量のデータを用いることで認知機能が高まり、洗練された検索ができる。検索と言ってもキーワードを入力するようなものではなくて、イメージを見てそこに何があるかを理解するといったものだ。

Q. 今はロボットに無関係な企業も引き込むような、どんなロボット技術をDARPAは推進したいと考えているか。

A. ロボットと人間、そして機械との直接の共同作業に非常に関心を持っている。また、ダイナミックな環境にも興味がある。今後のDRCでやりたいことは、通信が間欠的ならばどうか、見慣れた環境とは違っていたらどうするか、本当に屋外ならどうか、目の前に草木が生えていたらどうするか、といったようなことだ。また、災害時や屋外など、非構造化された環境で、どうクラウド・コンピューティングを利用するかについても、まだまだ調査をする必要がある。そして通信が途切れたら、ロボット側にタスクを行うだけの知性をどうキャッシュするかも考えなければならない。いきなり止まることなく、やり始めたタスクを終えるくらいの能力は備えていて欲しい。動作をどうクラウドに置くか、データ中心的なアプローチを、どう動作で用いるか。これらは未知のことだ。認知はデータでアプローチ可能だが、それを動作という次の段階へ推し進めたい。