DARPAロボティクス・チャレンジ決勝戦の詳細

先日速報したDARPAロボティクス・チャレンジ(DRC)決勝戦について、さらに詳しくお伝えしよう。『IEEEスペクトラム』にも、記者会見の記録が掲載されているので、そちらも参考にされたい。

当初予定されていた今年末から来年6月5〜6日に決勝戦開催が延期されたのは、タスクを難しくしたことが理由。予選を通過したチームには、補助金が半年分上乗せされ、開発を長く続けられるようにしている。

http://www.theroboticschallenge.org/より(以下同)

DRC予選の模様(http://www.theroboticschallenge.org/より(以下同))

まず、シャフトが参加辞退したことについて。辞退の理由は「最初の商用製品開発に集中すること」で、シャフトはそれと決勝戦参加の両方をやりたかったが、後者をあきらめるという苦渋の決断を下したとのこと。DARPAは、その決心を変えるよう説得はしなかった。

予選では他のチームを大きく引き離して1位を獲得したシャフトが抜けても、決勝戦全体のレベルが下がるわけではないと、DARPAプログラム・マネージャーのギル・プラット氏は説明した。

「決勝戦は、シャフトが強みを持っていた部分だけで闘われるわけではない。私が見るところ、シャフトは非常に優れたハードウェアを開発し、高トルク・ジョイントで安定性を誇った。だが、予選では低いレベルで人間のオペレーターがロボットをコントロールできた一方、決勝戦では“ドアを開け”とか“階段を昇れ”といったような高いレベルの指示になる。ロボットはソフトウェア面でずっと高い自律性を持ち、人間の助けなしに認知、計画、実行を達成することが求められる。現在の参加チームの中に、そうした面でかなり強いチーム(複数)がいる。決勝戦では、ハードウェアが十分に優れているかから、高レベルでの自律性、人間とロボット間のインターフェイスが優れているかへ競争を移行させる」。

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さて、タスクだが、実際のタスクが何になるのかはまだ決定されていない。だが、8つのタスクを一連にこなしていくことが求められ、そのうちのひとつは「サプライズ・タスク」になるという。つまり、直前までその内容が明かされないということだ。

タスクは、実際の災害現場での作業を模した順になるようで、最初に「車を運転する」が出てきそうではある。予選ではこのタスクを棄権したチームも多かったのだが、決勝戦では運転する代わりに歩いてもいいということにする模様。その後は、簡単なものから難しいものへタスクが並べられる。

各チームは、8つのタスクを1日目、2日目の2回にわたってチャレンジできる。持ち時間は1時間。採点に際しては、まず全タスクを達成したか、その次にどれだけ時間がかかったかによって評価が行われる。サプライズ・タスクは日替わりらしい。

ロボットはテザーなしとなり、バッテリーなどの電源は全タスクをこなすまで持続することが必要となる。もちろん、転んだら壊れることなく自力で立ち上がらなくてはならない。これは見ものだろう。

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予選でも、災害現場をシミュレートするために通信が時折分断されたが、決勝戦ではこれがさらに厳しいものに設定される。テレ・オペレーションがかなり難しくなる状況がつくられるようだ。従って、ロボットにはハイレベルでタスクを命じる必要が出てくる。通信がつながった際に、ひとつひとつの動作を指示していては時間切れになるからだ。

また、新しく出てきたのが「クラウド・ロボティクス」の概念。DARPAはクラウド・ロボティクスが今後重要なものになると見ており、通信は途切れることがあっても、チームがインターネットを介してコンピュテーション力やエクスパートの力を最大限得ることを期待している。

決勝戦に合わせて、アトラスもアップグレードされるべく手が入れられる。バッテリー搭載になり、またアームは動作の範囲が改良され、倒れても粉々になることなく起き上がれるようにするという。ちなみに、DARPAからチームに貸し出されているアトラスは、決勝戦後には引き上げられる予定。

独自のロボットを開発して臨んだチームのハードウェアには、変更はないという。決勝戦での勝負はソフトウェアに重心が置かれることを、プラット氏は何度も強調した。

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予選を通過して決勝戦に挑む11チームはすでに決まっているが、これに日本、韓国、EU政府からの補助金を受けてロボットを開発するチームがトラックDに加わる。トラックDには、さらに独自資金でハードウェア、ソフトウェアを開発してきたチームも参加してくる可能性もある。現時点では、全体で24チームの参加を見込んでいるとのこと。

シャフトが抜けて残念だが、見応えのある、そして面白い決勝戦になることは確かだ。プラット氏は、チームを連れて福島も訪れたと語っていた。ロボットの働きが、少しずつ現実の災害現場に近づいていくことだろう。

DARPAによる決勝戦の説明、予選通過チームのリストは、ここに。