グーグルのロボット・グループのトップになったジェームズ・カフナーとは、どんな人?

グーグルを去ったアンディ・ルービンに代わって同社ロボット・グループのチーフになったジェームズ・カフナーとは、どんな人物なのか? いくつかの情報から拾ってみよう。

ジェームズ・カフナー氏。2011年の写真から。(by Gildardo Sanchez, CC by 2.2)

ジェームズ・カフナー氏。2011年の写真から。(by Gildardo Sanchez, CC by 2.0)

まず、簡単な略歴から。

スタンフォード大学のコンピュータ科学で1999年に博士号を取得。この時期ならば、おそらくグーグルの共同創業者らとも在学の時期が重なっているだろう。1999年から2001年までは日本学術振興会の奨学金を受けて、東京大学でポストドク研究を。在籍したのは、工学部の情報システム工学研究室(JSK)で、井上博允、稲葉雅幸両教授らとの連名の論文もいくつか発表されている。JSKは、グーグルが買収した日本のロボット会社、シャフトがスピンアウトした研究室としても知られる。

2002年からカーネギー・メロン大学へ。同大学ロボット研究所の助教授・非常勤教授というポジションだったようだ。また、2002年から2010年までは、産業技術総合研究所(AIST)にシニア・リサーチャーとして招聘されている。

カーネギー・メロン大学では、自律走行車研究チームに関わり、アーバンチャレンジにも関与。これが彼をグーグルへ誘うことになる。グーグルの自走車開発チームにはカーネギー・メロン大学出身者が多い。グーグルには2009年9月から在籍となっている。

現在も講師を務めるカーネギー・メロン大学のロボット研究所のサイトによれば、研究の関心は「複雑なキネマティクス性とダイナミックス性を備えたシステムの動作をシミュレートし統合するためのアルゴリズムとソフトウェアを開発すること」とあり、モーション・プラニング、ヒューマノイド・ロボット、コンピュータ・アニメーションがカテゴリーとして挙げられている。

カフナー氏による、RRTのイメージ(http://www.kuffner.org/james/より)

カフナー氏による、RRTのイメージ(http://www.kuffner.org/james/より)

『ウォールストリート・ジャーナル』の記事によると、カフナー氏は、現在ロボットのモーション・プラニングで広く利用されているアルゴリズム「RRT(rapidly exploring random tree)」の開発者のひとり。同氏のサイトには、このRRT をイメージしたコンピュータ・グラフィクスがあるが、そのキャプションによると、RRTのアイデアは「ポートランドの中国風庭園で目にした木」に触発されて思い浮かんだのだという。

また、カフナー氏は、クラウドの計算力やストレージを利用する「クラウド・ロボティクス」という概念を最初に考案した人物でもある。2013年に同氏が共同発表した論文では、ひとつのロボットがモノを認識してつかむことができると、クラウドでつながった別のロボットもそのモノを認識できるようになることが記されている。

ルービン氏は、ロボット開発に携わった経歴もあるが、その後はずっと一般消費者向けのデバイス開発に注力してきた。一方、カフナー氏は、芯からのロボット研究者という経歴だ。その意味では、グーグルが買収したロボット企業にいる開発者らとも通じるところが大きいのではないかとも見られている。

『MITテクノロジー・レビュー』は、昨年の同氏とのインタビュー記事を掲載している。ここで、カフナー氏は、「ここ20年間で(ロボット開発は)ずいぶん加速化してきた。ロボットへの注目とそこに傾けられる努力によって、これからロボットがどんな実用的な役割を果たすのかは楽しみ」と答えている。

カフナー氏は、100以上の論文を発表してきたという。論文リストはここに。