ベイマックスを作ろう! CMUの挑戦

カーネギーメロン大学(CMU)ロボット研究所クリス・アトキソン教授が、『CNN』の意見投稿で、ディズニーの映画『ビッグ・ヒーロー6』に出てくる「ベイマックス」のようなロボットがどんなに必要とされているか、そしてその実現に役立つ開発がいろいろ進んでいる介護ロボット技術について述べている

こんなロボットを目指して(http://movies.disney.com/big-hero-6/より)

こんなロボットを目指して(http://movies.disney.com/big-hero-6/より)

『ビッグ・ヒーロー6』の柔らかなベイマックスは、少年を抱きしめてくれ、健康状態や精神状態を計測してくれる。そんなロボットが実現されるのはまだまだ先の話で、映画は人々に過剰な期待を抱かせかねないとアトキソン教授は警告する。

ただし、教授にも責任があるらしい。同映画が立ち上がり始めていた2011年、ディレクターのひとりが教授の研究所を訪れて目にしていたのが、空気で膨らむロボット・アームだったからだ。ソフトで安全なロボットを開発する中で作られたものだった。

物理的にベイマックスのようなロボットはまだ作れなくても、介護ロボット技術という点ではすでに注目すべきものがいくつもあると同教授は言う。つまりベイマックスのいくつかの要素はもう身の回りに存在しているのだ。たとえばセンサー、診断や認識の補助を提供する技術もそうだ。

問題は人が触れても安全で、身体を介護することができるようなロボットの開発だ。これが可能になれば、重労働に悩む介護関係者を救える。しかし、気体で膨張させる軽量のロボット技術は、すでに家や自動車を持ち上げたり、NASAの探測機の着陸に用いられたりするほど強固になっている。

また、ソフトな技術が健康状態や運動量をモニターするようなウェアラブル機器はたくさん出ており、これが今後経口される、あるいは身体に埋め込まれたりする技術となる日もそう遠くはない、と同教授は言う。早くも宇宙士が体温計測のために飲み込むピルや、結腸検査のために利用されるファイバースコープの代わりを務めるカメラ・ピルもあり、また血液検査を行うインプラント・デバイスも開発が進められているという。

同教授はまた、祖母に電話で呼び出されて、ALS(筋萎縮性側索硬化症)に冒された祖父が椅子から滑り落ちたのをよく抱き起こしに行ったと、若い頃の体験を語っている。こんな時に役立つロボットの登場が待たれるが、そんなロボットは物理的な重荷を肩代わりするだけでなく、ガンや認知症などの病気の発病、薬品の効き目や副作用などもモニターするようなものであるべきと言う。

ただ、ベイマックスのようなロボットを作りたいのならば、もっとも大きな課題は人間とやりとりできる頭脳を持たせること。AIを統合した音声認識機能のシリ(Siri)などが登場したが、これが現実のベイマックスの基礎になるだろう。

ロボットがわれわれの生活パターンを学習すると同時に、人間もどうやってロボットを手助けするかを学ばねばならない。そして、人間とロボットのインタラクションは質のいいものであることが求められる。同教授は、盲目だったもう片方の祖母が、音声が気に障ると言って、初期の読み上げ機械を使わなかったことを例に出している。

スマートフォンがわれわれの日常生活を刻々とモニターして健康を向上させてくれる日は近いが、究極的にはパーソナルなコンパニオン・ロボットが、歳をとることを少し楽にさせてくれることが望ましいと、同教授は言う。そして「われわれの未来は、ベイマックスを作ることから始まる」と結んでいる。

ところで、アトキソン教授のサイトを見ると「ベイマックスを作ろう」というサイトができている。研究への寄付や補助金を募っている状態のようだが、物理的にも頭脳としても人間のことを思ってくれるベイマックスを目指して研究を行うようだ。

ちなみに同教授は、DARPAロボティクス・チャレンジ(DRC)のWPI-CMUチーム(WRECS)のリーダーのひとりでもある。

同サイトには、いろいろ参考資料や面白い写真が載っているので、必見。

中央がアトキソン教授(http://www.cs.cmu.edu/~cga/bighero6/より)

中央がアトキソン教授(http://www.cs.cmu.edu/~cga/bighero6/より)