ロボットがいれば、注射も痛くない

病院で注射をされる体験は、大人にとっても決して嬉しいものではない。子供ならばなおさらだ。予防注射の際、緊張する、泣きわめく、逃げるなどの行動が見られるのは万国共通である。

カナダのカルガリー大学からのスピンオフ企業、RXロボッツ社は、ロボットを使って小児科の医療現場を変えようとしている。『IEEEスペクトラム』が紹介している

上のビデオは、痛みを和らげるコーチ・ロボット「メディ(MEDi)」だ。ロボット自体はアルデバラン社のナオだが、メディは医療目的に合った役割を担い、子供たちの医療を補助するようプログラムされている。

このビデオでは、予防注射を受ける子供の痛みを軽減しようとする場面が見られる。子供が処置室に入って来た時点から、注射を受けて部屋を出て行くまで、処置のスピードに合わせて子供に話しかける。

内容を聞いてみると、「僕も今注射してもらったところ」「一緒にいるから怖くないよ」「深い息を吸えば落ち着くよ」「終わったね、ハイファイブをやろう」などと言っている。子供はロボットとのやりとりに注意をそらされて、注射の瞬間もわかっていないようだ。

57人の子供を対象にした調査では、ロボットがいることによって半数が痛みを軽減されたという。また、ロボットがいた場合、注射を受けた子供たちはすぐ後も笑ったりしてリラックスしていたが、ロボットがいなかった場合は、むっつりと黙って看護士や親が話しかけても返事をしないことが多いという。

メディには、予防注射以外にも血液検査用のプログラムもあるという。こちらは処置がもっと長いものだ。病気の子供が受ける診療にはさらにいろいろなケースがあり、今後このロボットもそれぞれの目的に添って対応することになるのだろう。

メディは、痛みを和らげるコーチの他に、医療教育、コンパニオンという役割が果たせるそうだ。医療教育では、健康であるためにどんなことに気をつければいいのかを教えてくれる。またコンパニオンでは、待合室で待っている間、お話をしてくれたりゲームの相手になってくれたりするようだ。

それにしても、これはロボット・ビジネスの新領域として非常に興味深いものではないだろうか。簡単にプログラムできるロボットが、さまざまな状況に合わせた機能を果たす。小児科の医療という分野ならば、子供の心理学や医療現場での体験などを統合して、よりよいロボットを作り上げることができる。