米国ロボット工業会(RIA)の2015年ロボット予測

ロボット業界にとって、2015年はどんなトレンドを目にする年になるのだろうか。アメリカの業界団体、米国ロボット工業会(RIA)の『ロボティクス・オンライン』に記事が掲載されている

そこに挙げられている項目をご紹介しよう。

ボーイング社の工場では2台のロボットが共同作業をする(http://www.boeing.com/より)

ボーイング社の工場では2台のロボットが共同作業をする(http://www.boeing.com/より)

まず全体の傾向は、さまざまな境界がなくなること。産業ロボット、コー・ロボット、サービス・ロボットなどの違いがあいまいになる。そしてロボットがユビキタスに見られるようになり、ロボット自体も多目的、可変的になる。

また、コラボレーションは人とロボット間から、ロボットとロボット間、ロボットとマシーン間とさまざまなかたちをとる。そして、そこにはセンサー、認識、学習、通信、把握などの高度なテクノロジーも統合される。この手の新しいコラボレーションは、ロボットに関わる人々をひとつにまとめることになるだろう

コネクティビティーは、IoT(インターネット・オブ・シングズ)のかたちをとって実現される。企業テクノロジー、ロボット、マシーンなどの自動化テクノロジーが互いに連携して、人間に有用なデータを提供するようになる。

そうした中で、注目すべき具体的な動きは以下だ。

・エンジェル投資家やアクセラレーターの関心の高まり: たとえば、2012年には2件しかなかったシリコンバレーのハードウェア・アクセラレーターが、現在ではさらに15件が加わっている。

・センサー、ソフトウェア、エンド・オブ・アーム・ツーリング(EOAT=腕先の部分): 産業ロボットは、コー・ロボット以外には大きな進展はないものの、この3つの分野は今後5年間に大きく進歩する。ことにソフト・ロボットのEOATによって、把握できるものの範囲が広がる。ニューボティクス社ソフト・ロボティクス社などの開発会社が代表的。

ソフト・ロボティクス社のエンド・エフェクターは、いろいろな形状のモノを把握できる

ソフト・ロボティクス社のエンド・エフェクターは、いろいろな形状のモノを把握できる

・3Dプリンターの利用: EOATの開発が3Dプリンティングの利用によって加速化されている。プロトタイプだけでなく製品も3Dプリンターによって製造できる。たとえば、ドイツのASSエンド・オブ・アーム・トゥーリング社は、プラスティック注入製造現場で使われるエンド・エフェクターや標準型のグリッパーを3Dプリンターで製造している。

・3Dプリンティングにロボットが利用される: ロボットアームの自由な動きを利用して、通常の3Dプリンターにはできないサイズや形状がプリントできる。破損した箇所を修理するのに、ロボットと3Dプリンティング技術が利用されているケースもある。

・いたる所にセンサーが: 価格が安くなったことで、センサーが多用されている。またLIDAR関連のスタートアップも増えている。センサーのおかげで、人間とロボットが一緒に働くことも可能になる。しかし、センサーは2次元から3次元に進化して、ボリューム(容積、空間)を感知するようになる必要がある。キネクトがロボットの安全利用のために用いられるようなものだ。下は、クカ社のユーボットにリープ・モーションを取り付けた同社研究室のビデオ。

・ソフトウェアも高度化:  センサーがスマートになるに連れてソフトウェアも高度化する。ROSのMoveIt!はモバイル・マニピュレーション用のソフトウェアで、動作計画、マニピュレーション、3D認識、キネマティックス、制御、ナビゲーションが統合されているが、こうしたソフトウェアが今後注目を集める。人がそばにいるとそれを認識し、状況に合わせて動くようになるといった特徴もある。下のビデオは、直線移動とトラジェクトリー計画を統合して、2本のアームやテーブル、モノがぶつからないよう認識するソフトウェアを用いたロボット。

・インテリジェントなオートメーション: センサーやスマートフォン、それに類した機器が増えることで、環境側の認識度も高まる。そこからビッグデータに基づいた自動化が起こる。

・産業でのIoT: インテリジェント・オートメーション、M2M(マシーン・トゥ・マシーン)、クラウド・コンピューティングなどと共に、IoT(インターネット・オブ・シングズ)はことに製造現場に大きなインパクトを与える。アセットの有効利用、生産性、水平統合、顧客のエクスペリエンス、イノベーション・サイクルなどが向上する。またロボットでは、コー・ロボットの安全性の向上とロボットの同調化でこの技術が利用される。

・ネットワークの統合化: これまでバラバラだったモーション・ネットワーク、セイフティー・ネットワーク、情報ネットワーク、I/Oネットワークを標準化して統合する必要が出てくる。

・ソーシャル・ロボットの高まり: パーソナル・ロボットを超えてサービス・ビジネスで利用されるロボットが注目を集める。ジーボペッパーオシュボットフューロサヴィワンバジーなどがそうしたロボットだ。人とやりとりするので、インタラクション・デザインが重要になる。

・ロボット間のコラボレーション: 複数のロボットが共同作業するような製造現場が増える。ボーイング社ではFAUB(Fuselage Automated Upright Built=胴体組み立ての安全性と品質向上を図る自動化技術)プログラムを試行中で、ここでは1台のロボットがリベットを打ち込み、もう1台が反対側からそのリベットの位置がずれないように抑えているという共同作業がある。制御するのは同じコントローラーだ。

下のビデオは、米ファナック社のロボットの共同作業風景。同社のiRVision衝突回避システムが、衝突の起こりそうなポイントをあらかじめ計算しており、ロボットをつないだ時に自動的にモニターする。

・スマートな製造: アメリカのスマート・マニファクチャリング・イニシャティブやヨーロッパのインダストリー4.0など、製造現場をスマート化する動きは盛んだが、問題は期待されるようにロボットやビジョン・システムが機能するかどうか。機能を計測するしくみによって、新しい技術導入のリスクを下げることができる。

・SME(中小企業)へロボットが進出: コー・ロボットによって大きな恩恵を受けるのはSMEだが、SMEはロボットがほとんど利用されていない。大きなイノベーション機会がある。

・モビリティー: 現在はロボットが製造現場のレイアウトを決定しているが、ロボットがモバイル、そしてポータブルになれば、製造担当者がその時の作業にあった方法でレイアウトができるようになる。期待されるのは、完全自律、半自律の可動台車にアームが装備されたロボットだ。

・各産業向けのロボットが続々: パーソナル・ロボットは普通の人々を熱狂させるが、大きなインパクトを与えるのは各産業向けに開発されたロボット。これまで見たこともないような農業ロボット、医療ロボット、エンターテインメント・ロボットなどが、今後数年間で出現する。

下のビデオは、グーグルに買収されたロボット会社のひとつ、ボット&ドリーのもの。