セグウェイのディーン・ケーメンが創設した、全米のロボット・コンペ「ファースト」

今、アメリカで若い世代のロボットへの関心を盛り上げているのは、「ファースト(FIRST)」という非営利組織だ。ファーストは、セグウェイを発明したディーン・ケーメン氏が1989年に創設したもので、全米の子供たちが出場する科学関係のコンペティションを開催する。

そのケーメン氏について、『ギガオム』誌が記事を掲載している

全米から勝ち抜いてきたチームが競う決勝戦(http://www.usfirst.org/より)

全米から勝ち抜いてきたチームが競うファーストの決勝戦(http://www.usfirst.org/より)

ケーメンは440件のパテントを持ち、科学好きの子供や大人から尊敬を集める存在だ。自身の研究所であるDEKAリサーチでさまざまな発明や開発を行い、その内容は機械から化学まで幅広い。

最近の開発は、「ビーコン10」というスターリング・エンジンで、ソーラーパネルとバッテリーを組み合わせて電力を生む。建物に設置することができる。

もうひとつは、「スリングショット」という浄水器で、どんな水も飲料可能なものに浄化する。深刻な飲料水不足に直面する発展途上国で使えるものだ。こちらはコカコーラ社が関心を持っている。

ファーストは、そのケーメンが「もっとも誇りに思う発明」というものだ。ソーシャル・メディア以上に大きな技術の世界があることを、子供たちに感じて欲しいと言う。

セグウェイに乗るケーメン氏(http://www.slingshotdoc.com/より)

セグウェイに乗るケーメン氏(http://www.slingshotdoc.com/より)

さて、ファーストをざっと説明しておこう。

ファーストが行うコンペティションは、ロボットとレゴがあり、小学生、中学生、高校レベルに分かれている。一部幼稚園児が参加できるものも設けられている。

ファーストは全米組織になっていて、現在4月末の全米決勝戦に向かって各地域での予選が行われている段階だ。年明けに予選が徐々に始まり、春に決勝戦。その後、また来年の試合に向けてロボット作りが始まるというわけだ。

ロボットを作るためには、お金とアドバイザーがいる。お金は、父兄が交渉して地元の企業などから集めてきたり、どこかのスポンサーシップをもらったり、子供たちがアルバイトしたりする。

アドバイザーは、これがおもしろいが、学校の科学の先生や父兄、地元の発明家、日曜大工の好きな近所の住民、大学の教員、NASAの研究員など多様な人々が手弁当で関わっていることが多い。子供と先生だけではなく、こうした幅広い人々の知恵に触れられるということだけでも、かなりの勉強と刺激になるだろう。

ファーストの予想によると、2014/15年のシーズン中、全米のコンペに参加する生徒数は40万人、テーム数は3万8700人、参加するロボットは3万4000台、アドバイザーは9万人、ボランティアは9万人という。

高校生のロボットチームだけでも、3000チームが全米で技術に磨きをかけている。決勝戦は4月22〜25日にセントルイスで開催される。

また、ファーストに参加した生徒には、大学進学への奨学金がもらえるチャンスもある。実際の奨学金は大学や企業から出されるものだが、ファーストが将来のロボット開発者を見いだすための舞台にもなっているというわけだ。写真を見ると、決勝戦会場ではいろいろな大学がデスクを設けて、生徒を勧誘したりしているようだ。

アメリカは、STEM(科学、テクノロジー、エンジニアリング、数学)の教育に悩んでいるというが、ファーストの規模を見るかぎりSTEM教育はフルスピードで邁進中だ。

ところで、下のビデオはケーメン氏と浄水器の開発を捉えた映画『スリングショット』の予告編。ニューハンプシャーの島を所有して八角形の家に住み、さまざまな発明を行っている同氏の一面が伺われて面白い。