自閉症の診断と治療のために活躍するロボットの話

イギリスの『ガーディアン』が、子供の自閉症の診断と治療にロボットが役立てられていることをレポートしている。数種類のロボットが取り上げられている。

子供を怖がらせることなく、やりとりできるロボット、ジーノ(http://www.robokindrobots.com/より)

子供を怖がらせることなく、やりとりできるロボット、ジーノ(http://www.robokindrobots.com/より)

ハンソン・ロボティクス社から生まれたジーノ(Zeno)は、ことにこの分野で知られている。記事で触れられているのは、ハンソンのロボカインド社、テキサス大学アーリントン校のダン・ポパ教授ダラス自閉症治療センターテキサス・インストゥルメンツナショナル・インストゥルメンツ社の共同で行われている研究。

ここでは、自閉症の少年の身体にセンサーをつけて、ジーノとのやりとりを観察する。「どんな食べ物が好き?」とジーノが尋ねると、少年は「チョコレートミルクとフライドポテト」と返答。ジーノは、「僕もチョコレートミルクが大好き」と言って、両手を上げたりお腹をさすったりする。少年はそのしぐさをまねるという一連の流れだ。

自閉症は従来、社会的な環境や言語訓練の中で診断されてきたが、その方法ではことばが話せるまで診断ができない。その点、ロボットならばしぐさや顔の表情を通して、子供の反応を見ることができる。また人間が相手の場合は、微妙でニュアンスに満ちたやりとりが自閉症児を怖がらせるが、ロボットでは複雑さが少ないので、子供にとっては苦痛が軽減されるという。

ポパ教授は、ジーノが子供の関心を惹き付けるので、自閉症児にはいいモチベーションを与えると語っている。ロボットが子供に指示をすることで、子供は有益なソーシャル・スキルを身につけることができる。同時に、子供の反応やそれまでの時間を計測することで、自閉症レベルのようなものを作ることができるという。

ジーノを使った治療は3種類がある。ひとつは、一連の動作をあらかじめプログラムしておくこと。ふたつめはオペーレータやセラピストが遠隔でジーノをコントロールする方法。つまりジーノは、セラピストの動きを反映する。最後は、子供がコントロールするというケース。子供のしぐさをジーノがまねするという方法だが、ひどい場合にはロボットが壊れてしまうことも想定されるので、これはお遊びに限られているという。

ジーノ以外に自閉症の治療に使われているロボットに、ミロ(Milo)がある。ミロは最初から自閉症児とのやり取りのために開発され、顔の表情が作れるのが特徴だ。ミロが今どんな気持ちなのかを、子供がタブレット上で選び、その様子を目の中のカメラが録画する。子供とは1対1でやりとりするが、返答に詰まったらセラピストがサポートに入るというやり方だ。

下のビデオを見ると、ミロの外見はほぼジーノと同じ。より細やかな表情が作り出せる機能を加えたもののようだ。

その他には、イギリスのハートフォードシャイアー大学の適応システム研究グループが開発したキャスパー(Kasper)は、ニュートラルな表情なので、子供がいかようにも解釈ができる。自閉症以外にも、ダウン症やADHD(注意欠陥多動性障害)などでの利用が研究されている最中だ。

アルデバラン・ロボティクス社のナオ(Nao)も、バーミンガム大学の教育と研究のための自閉症センターで用いられている。

ヒューマノイド・ロボットがその人間的な存在感をこうした場で活かしているのは、実に興味深いことだ。