インテルがローンチした、ソーシャルにつくる3Dロボット

インテルにはフューチャリストという肩書きの社員がいる。10年以上先の未来の生活はどうなっているのかを予測して、そのフィードバックをインテルの開発者に伝えるのが仕事である。未来を予測するために、SF小説のシナリオづくりの手法を利用したりもする。

そのフューチャリストのひとりである、ブライアン・デビッド・ジョンソンが、オープンソースで開発するロボット・プロジェクト「21世紀ロボット・プロジェクト」を発表した。

オープンソースで作られるロボットの「ジミー」(左)(http://robots21.com/より)

オープンソースで作られるロボットの「ジミー」(左)(http://robots21.com/より)

このプロジェクトでは、3Dプリントできるロボットのファイルとキットを共有、そこにさまざまな開発者がかたちやアプリに自分で手を加えていく。

キットの中味はまだ発表されていないが、プロセッサー、メモリー、サーボモーター、パワーパックなどと予想されている。発表は来年5月の予定。500〜1000ドルの価格を目指しており、現在よりもロボット作りを格段と安くすることも目標だ。

ジョンソンは、ロボットの機能を「パーソナル・ロボットとして、コンパニオンになったり、毎日の薬を飲むようにリマインドしてくれるヘルパーになったりすることも可能」と語っている。開発者らはこのロボット、ジミーの手を見て、何かを掴ませたりすることもできそうとしている。どんなロボットになるのか、可能性は広い。

『ギズマグ』の関連記事はここ。世界のメーカーたちにプロジェクトを解説した本はここ


ストライカー社が、手術ロボットのマコ・サージカル社を15億5000万ドルで買収

歴史ある医療機器メーカーであるストライカー社が、手術ロボットを開発するマコ・サージカル社を16億5000万ドルで買収した。ロイターが伝えている

マコ・サージカル社は2004年創設で、膝やヒップの整形外科インプラントの挿入を自動化したロボットを開発する。ロボティック・アームを利用して厳密な手術ができる技術だ。

今回の買収では、マコ社株に86%ものプレミアムを加えた価格となっているが、両社の相乗効果には大きな期待が寄せられている。また、これによって医療機器関連の買収額が、今後高くなる影響も出ると予想されるという。

マコ・サージカル社のシステム(http://www.makosurgical.comより)

マコ・サージカル社のシステム(http://www.makosurgical.comより)


アメリカの学校には、すでに3000台のNAOがいる

ケーブルテレビのFOXニュースが、ニュージャージー州の高校で小型ヒューマノイド・ロボットのNAOを採用した授業をレポートしている。

Robot - nao.1

ビデオはここから。

コンピュータ科学や数学、物理などの授業をサポートするために、すでに3000台のNAOが全米の教育現場にいると同ニュースは伝えている。生徒がNAOをプログラムしその結果を見ることで、プログラムに対する興味を抱き、どんどん複雑なことができるようになることが期待されている。

このNAOを販売しているのは、テック・ロボティクス社というハイテク関連の教材会社。1台6万ドルという。

同社のサイトを見ると、「現代の教室を進化させ、子供たちに専門的な知識を持たせていく」ためのサービスや環境を提供するとしている。NAOの他にも、インタラクティブなタッチスクリーン、記録用カメラなどが挙げられており、学習マネージメントシステムや種々のアプリなどのソフトウェアもある。

生徒だけでなく、テクノロジーに弱い先生も、こうしたサービスによってテクノロジーへの知識を貯えていくのだろう。


バクスターのソフトウェアが2.0にアップグレード

製造現場で人と一緒に仕事ができるコー・ロボットの代表的存在、リシンク・ロボティクス社のバクスターが、バージョン2.0にソフトウェア・アップグレードされた。アップグレードは、コンピュータやスマートフォンと同様、ネット経由でダウンロードして行われる。

2.0での改良点は、スピードが速くなったことと、どんな角度からもモノをピックアップできるため、多様な動作が可能になったこと。さらに動きがより正確になり、スキャンなどができるようにモノを空中で持ち上げたまま、その位置を保つこともできる。異なった形状を見分ける機能も向上したという。

ビデオを見ると、当初よりもいろいろなタスクをこなせるようになっているのがわかる。同社では、バクスターは「これからもどんどんソフトウェアが改良されることで、投資効果がもっと上がっていく」と強調している。

しかし、このビデオでは作業員にバクスターのアームがぶつかる様子が’わざわざ収められている。ぶつかっても痛くないということだろうか。作業員をあらかじめ感知して、腕を止めてくれないのは確かのようだ。


テスラも自律走行車開発へ。自走車のロードマップはどうなる?

シリコンバレーでは自走車実用化への期待が本格的に高まっているが、電気自動車メーカーのテスラも3年以内に「90%自走する」車を発表する。「ファイナンシャル・タイムズ」が伝えている。3年というと2016年。その頃にもう「ほとんど自走車」という製品が路上を走っているとは、すごいことである。

テスラCEOのイーロン・マスクは、90%自走と「100%自走との間には、非常に大きな溝が横たわっている」と語る。完全自走をめざすよりも、まずは製品化して市場で売れる車を作ろうという選択をしたということだ。

テスラなら、自走車もかっこよくなる?(http://www.teslamotors.com/より)

テスラなら、自走車もかっこよくなる?(http://www.teslamotors.com/より)

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必見! ロボット関連の新興企業を総ざらい

国際ロボット連盟(IFR)が先頃、ロボット産業界の動向に関する報告書を発行したが(産業ロボットとサービスロボットの2巻)、その中でロボット関連の新興企業をレポートしたフランク・トービー氏が、その記事を自身のブログ・サイト『エブリシング・ロボティク』で公開している

同記事では、医療関連、リモートプレゼンス、海底探索、搬送、消費者向け、AI、農業、無人航空機、ニッチ市場(太陽光発電など)、新領域(ゴミ分離、脳波コントロールなど)に分けて、世界の新興企業が紹介されている。

ぜひ記事にアクセスして、各社のサイトのURLをクリックされることをお勧めしたい。ロボットと呼ばれるにはあまりにかたちが異なるが、その応用分野が多岐に渡っていて、幅広くロボット産業の盛り上がりが感じられるラインアップだ。

記事ではさらに、こうした新興企業がどのような資金を受けて起業し、運営されているのかにも言及している。それによると、研究者らがちょっとしたインスピレーションを商用化することで、さらに研究が続けられるようになっているケースも多く、その場合はクラウドファンディングが有効な資金調達手段になっているという。宇宙開発や軍事関連の政府プログラム(NASAやDARPA)の資金を得るケースでは、特定の目的を果たすための新しい方法論を模索する目的の「戦略的補助金」によって資金を得ていることが多いという。

また、235社の新興企業を国別、分野別に分類した表も興味深い。それによるとアメリカの128社が新興企業数ではダントツ。その後にフランス、カナダ、スイスなどが続く。残念ながら日本はたった7社。いや、変革はこれから、そして成長ののびしろがまだたっぷりあると期待しよう!

ロボット関連新興企業235社の国別、分野別分類(http://www.everything-robotic.com/2013/09/a-glimpse-at-our-robotic-future-235.htmlより)

ロボット関連新興企業235社の国別、分野別分類(http://www.everything-robotic.com/2013/09/a-glimpse-at-our-robotic-future-235.htmlより)


新興企業の成功例。コー・ロボットを開発したユニバーサル・ロボッツ社

先だって、アメリカのBMW工場で人間のすぐそばで働くロボットを紹介したが、同じくユニバーサル・ロボッツ社の製品はドイツのフォルクスワーゲン社でも導入されているという。『ロボティクス・ビジネス・レビュー』が伝えている

ニーダーザクセン州のこの工場では6000人の従業員が働き、毎日7000台のガソリンおよびディーゼル・エンジンを製造している。ここでユニバーサル社の6軸ロボットUR5は、シリンダーヘッドにデリケートなグロープラグを挿入する作業を行っているという。この作業は、人間の作業員に不自然な姿勢を強要する上、シリンダーヘッドがよく見えないために手間のかかるものだったという。ユニバーサル社は、さらに5キロの重量を持ち上げることができるUR5の機能を利用して、もっと重いタイプの労働を人間のそばで行えるようにすることも計画中という。

フォルクスワーゲン社の工場で利用されているUR5(http://www.roboticsbusinessreview.comより)

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すでに人体の50%は、マシーンで代替可能?

スミソニアン博物館が、「バイオニック・ボディ」に関するドキュメンタリーを制作、10月20日にケーブルTVのスミソニアン・チャネルで放映する予定だ。

バイオニック・ボディとは、人体の生体信号とセンサーやコンピュータ機能を統合した半人工的な身体のこと。すでに筋肉の動きや神経の信号を読み取って手足の動きを形成する義足や義手があるが、それ以外にも脳信号を利用して動くロボットアーム、独自に機能する人工臓器(膵臓、脾臓、肺など)などが研究、開発されており、これらを合体すると、人体の50%を占めるという。もちろん、それらを全部統合したとして相互にうまく機能するかどうかは別問題だが、バイオニック・ボディの研究がここまで進められているとは驚く。

スミソニアン・チャネルで放映されるドキュメンタリー『バイオニック・マン』(http://www.smithsonianchannel.comより)

スミソニアン・チャネルで放映されるドキュメンタリー『バイオニック・マン』(http://www.smithsonianchannel.comより)

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ロボットの何が、愛着を抱かせるのか

人がロボットに対して抱く感情について、ニューヨークタイムズ・マガジン(日曜版の付録雑誌)に興味深い記事が掲載されている。「ロボットはどのようにして人に感情を抱かせるようになるのか」というテーマだ。

これからのロボットは単なる道具ではなく、それでいて完全な同僚でもないという、「グレーなゾーン」に属すものが多くなる。そのグレーなゾーンのロボットが行うタスクは社会的なやりとりも含むので、人間とロボットの関係が重要になり、昨今は「ヒューマン・ロボット・インタラクション(HRI)」という研究が行われていると、記事は説明する。 続きを読む »


ひとつのジョイスティックで、100個のロボット群を操作する

ライス大学マルチロボット・システムズ・ラボの研究者が、複数のリモートコントロール・ロボットを単一のジョイスティックで操作するアルゴリズムを考案した。『ロボハブ』が報じている

ビデオでは12個のロボットが各々に動くさまが見られるが、これは120個のロボットにも適用可能という。また今はスピードがのろいが、これを200倍速める新しいアルゴリズムを開発中とのことだ。

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